小児歯科
小児歯科
歯を失う主な原因はむし歯と歯周病です。
高齢化社会となった現在、健やかな生活を送るためには自分自身の歯を一本でも多く残すことが重要な課題となっています。
なぜなら健全な食生活こそが生きていくことの基本だと思うからです。
不幸にして失ってしまった歯の機能を回復するためには、入れ歯、インプラント、差し歯など歯科医療の向上に伴って様々な手段はありますがご自分の歯に勝るものは無いのです。
そしてむし歯や歯周病の予防のためには歯垢(プラーク)の除去つまり歯磨き(ブラッシング)によって口の中を清潔に保つということが重要です。
そしてさらに歯科医院を訪れ定期健康診査を受けることをお勧めします。
むし歯も歯周病も初期の段階ではほとんど自覚症状はありません。極端に言えば痛くなってからでは遅いのです。予防と早期発見、早期治療が大切です。
- 1自分の口にあった歯ブラシを選びましょう。
小さめでふつうの硬さ、柄はストレートの歯ブラシを選びましょう。目安としては下の前歯4本の幅より小さいものを選びましょう - 2夜寝る前のブラッシングが重要です。 むし歯の細菌は口の中が酸性に傾くと繁殖しやすくなりますが唾液には中性に引き戻す働きがあるのです。しかし眠っている間は唾液の分泌量が極端に減ります。だからこそ夜寝る前のブラッシングが重要なのです。寝る前の飲食はもってのほかです。
- 3発育途上にある小児にとっては運動機能の発達状態からもまた永久歯が生え始め生え変わるという時期も考慮し小学校3年生くらいまでは保護者の方の仕上げ磨きが必要です。
- 4歯磨き粉はフッ素入りや除菌効果が期待できるものと色々でていますが基本は自分で磨くということたくさんつけてもうがいだけでは歯の汚れは落ちません。
- 5ブラッシングには様々な磨き方があります。そして電動歯ブラシによるブラッシングも普及しています。ようは、歯垢がとれればそれでよいのですが、年齢、歯肉の状態、残っている歯の状態によって方法は異なります、そして歯ブラシだけでなく様々な清掃用具があります。ご自分にあったブラッシングや清掃用具を知るために歯科医院でのブラッシング指導をお薦めします。
乳歯や生えてきたばかりの永久歯にはフッ素塗布がむし歯予防に有効です。フッ素はエナメル質を強化する働きがあります。歯科医院での塗布をお薦めします。
最近はフッ素入りの歯磨き粉が市販されておりこれも有効です。ただし小児にこれを使用するときはブクブクうがいができるようになってからが良いでしょう。
乳歯の奥歯や特に6歳臼歯(第一大臼歯)にはシーラントがむし歯予防に有効です。生えたての奥歯は質自体が弱く溝が深いうえ、上下がかみ合っていないため(野菜などの繊維でこすれあうことも無いので)食べ物の残りかすがつきやすく、むし歯になりやすいのです。このような状態の奥歯の溝を削るのではなくむし歯になりやすい溝を樹脂で埋め封鎖することによってむし歯を予防するものです。
定期的に歯科医院で定期健診を受けることはむし歯や歯周病の予防およびその早期発見、早期治療に欠かせないものです。特に小児にとって乳歯列から永久歯列への移行、顎、口腔系器官の発育途上という大事な時期であるためそれが完了するまで長期的継続的な定期健診が必要となります。
歯石は知らず知らずのうちに着いてきます。歯石の沈着は歯周病の原因になり、ほっておくと歯肉が腫れたり出血の原因となります。歯石はご自分ではとれません歯科医院で歯石の除去を受けましょう。
歯科医院で行われる機械的歯面清掃のことでブラッシングではとりきれない歯垢(プラーク)や歯の表面についたステイン(外来性の沈着物でタバコやコーヒー、ウーロン茶などさまざまな嗜好品によってつく歯の着色)、またむし歯の細菌によって作り出される膜(バイオフィルム)をフッ素入りのペーストをつけた色々な器具で磨きます。歯の表面がきれいになるだけでなくだけでなく歯垢や歯石がつきにくくなります。そしてこれは定期的に行うのが良いでしょう。
治療は小児が精神発達途上にあるため自我が発達し保護者以外の他人の言っていることが理解できる3歳以上になってからが望ましいと思われます。(3歳未満であっても外傷や痛みがひどいとき、腫れているなど緊急治療は行います。)
早期治療が重要であることは間違いないのですが痛みを自覚していない段階では子供にとってむし歯は治療しなくてはならないという認識は全く無く、お母様がそれを認識して歯医者に連れてくるわけです。
ですから無理やり治療台におさえつけられて有無を言わさず治療されたのでは治療は恐怖そのものでしかなくそれがトラウマとなってその後の歯科治療に悪い影響を与えることになります。
3歳を過ぎる頃(個人差はあります男の子と女の子、第一子と末っ子、兄弟が多いなど様々です)になると他人の言っていることも理解できるようになり我慢したり、自分の思うとおりならないこともあるということが理解できるようになってくるのです。
子供に理解できる範囲の言葉で話しかけ治療器具を見せ説明し子供に持たせるなどして動かし、トレーニングを行います。
初めての歯科治療に対する恐怖は周りの大人や兄弟、友達との会話などから得られた情報や予防接種など他の医療行為に関連し想像したものです。それとは違うものであることを理解させ恐怖心や不安、警戒心をとり除くことを目的に行います。
そして治療に入ってからも不安にならないよう常に話しかけ、何をするかを事前に話しながら見せられるものは見せ、説明してから治療を行っています。
子供に言ったことは必ず守る、そして子供に約束させたことは必ず守らせるこれを心がけています。今日は診るだけ、あるいは薬を塗るだけといったらそれ以上は行わないように治療計画を立てそれを実行するようにしています。もちろん痛みがある場合はそれを優先することを治療に入る前に子供に話し理解させてから行うようにしています。
このことは連れて来るお母様や保護者の方にも共通することでお子様から「今日は何をやるのと?」と聞かれて「今日は診てもらうだけ」とか「薬を塗るだけ」とか言ってお連れになるとそれ以上のことはさせてくれない場合があります。たとえさせてくれても歯医者への不信感がつのり次回に悪影響を及ぼすことがあります。
お子様から聞かれたとき(初診時を除いて)「お母さんはわからないから行ってから先生に聞いてみてね」と答えてあげてください。お子様に何をするかわかるように説明します。
多くの場合お子様は良い子で動かず治療を受けることが出来ます。でも本心は恐怖心や不安感いっぱいで堪えているわけですから終わったとき、我慢が出来たときは大げさに褒めてあげています。大人だったら気恥ずかしいような褒め言葉であってもお子様は素直に受け止めてくれ、それが次回への自信や頑張りにつながっているよう様です。
お母様や保護者の方も終わったあとはめいっぱい褒めてあげてください。
お母様や保護者の方の褒め言葉がお子様の精神的な疲れや不安を取り除き笑顔や勇気そして頑張ったという自信をつけるのだと思っています。
外傷あるいは痛みや腫れがある場合は年齢や協力、不協力にかかわらず応急処置を行います。
この場合は緊急性を重視するためやむを得ず強制治療を実施することがあります。
小児に使用される局所麻酔は注射麻酔でおとなに使用されるものと変わりません。ただ表面麻酔を施し、刺入点部の痛みを和らげる目的で針先の細いものを使用し、徹底的に視界に入れないように注意し、注射という言葉はスタッフを含め全員使用していません。注射という言葉だけでお子様は恐怖や不安をつのらせるからです。
ですから「麻酔は注射でしょうか?」とか「麻酔は痛いのでしょうか?」などのご質問はお子様の前ではおっしゃらないようにお願いいたします。
乳歯と永久歯の構造はほとんど変わらないのですが歯髄(歯の神経や血管)までのエナメル質や象牙質の厚みが永久歯に比較すると薄く、また歯の大きさの割には歯髄の占める割合が大きいのです。
つまりむし歯になると神経にいたるまでの経過が速いのです。
そして決定的に違うのは乳歯の下には永久歯が控えているということです。

つまり乳歯には後から生えてくる永久歯のスペースを確保しスムーズに永久歯との交換がなされるためのガイド役という重要な役割があるのです。またむし歯になって(むし歯にならなくても)食べ物が良くかめなければ成長過程にある小児にとっては栄養の消化吸収の妨げになったり噛むことによって培われる口腔周囲の筋肉や顎の発達にも影響を与えます。
したがってむし歯にしないということが一番大事なことなのですが、不幸にもむし歯になってしまったら永久歯以上に早期発見、早期治療が必要となります。
とは言っても小児の場合自我の発達など精神発達途上であるため保護者以外の他人の言っていることが理解できるようになるのは早くても3歳くらいです。
それ以前は治療台に乗り動かずに治療を受けるなどということは無理なのです。
無理やり押さえつけて治療すれば幼い子供にとって治療は恐怖そのものでしかないものとなり、それがトラウマとなってその後の歯科治療にずっと影響を与えてしまうでしょう。
お母様は絶対に3歳まではむし歯にしないという強い決意を持ってブラッシングをしてあげてください特に夜寝る前のブラッシングが重要です。(実際のところ3歳までむし歯にしなければそれ以降急激に虫歯になることは少なく、乳歯にむし歯のないお子様は永久歯にもむし歯が無い場合が多いようです。)
ブラッシングをきっちり行っていてもむし歯になってしまうことはあります。歯が生えてきたら歯科を受診し日頃から定期健診などを受け予防処置を受けたりして歯科に慣れさせるようにしましょう。そして3歳以前に虫歯になってしまったら虫歯進行抑制処置を受けお子様の精神発達の状態に合わせての治療が望ましいと思います。
治療
基本的には永久歯の治療と変わりませんが2.のみ異なります。
1. 初期ウ蝕の場合は悪い部分をとり除き樹脂や金属を詰めます。
2. しみたりたまに痛いといったりする場合には歯髄の一部を取り除く処置を行い、乳歯冠をかぶせます。(歯髄切断法…乳歯や歯根未完成の永久歯に行われる処置)
3. 歯の根の治療
基本的には永久歯と同様歯髄全域に炎症が波及し痛みを訴える状態や歯冠の崩壊が著しく歯の神経が死んでしまったり感染してしまった場合で乳歯の根が安定期にあるもの(永久歯交換期に近づくにつれ乳歯の根は吸収し始め短くなります)根の治療が終わった後乳歯冠を被せます。
4. ウ蝕抑制処置
3歳未満の小児のむし歯や前歯のむし歯など初期ウ蝕の進行を抑制する目的で薬剤を塗布します。(むし歯予防処置として行われるフッ素塗布とは異なる)


